映画情報 

クリスチャン新聞2008年4月6日号
 ドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」
 靖国神社をめぐる人々の姿を、10年かけて撮影したドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」(監督・李纓)が、4月12日より全国ロードショー公開されます。
 映画は冒頭、90歳をすぎてなお大日本帝国陸軍軍刀の歴史を引き継ぐ「靖国刀」を打ち続けるの姿を映し続けます。そして、軍服スタイルで靖国参拝する人たちを映し出すとともに、僧侶であった父親の靖国取消しを求め、大阪の「など抹消請求訴訟」の原告として闘っている僧侶や、「還我祖霊(=魂を返せ!)」と訴える台湾原住民族も登場します。「七生報国」、「七生滅賊」という祭神をる靖国神社境内で、星条旗を掲げて小泉支持を訴えるアメリカ人に右翼が押しかけ、警官によって排除されるという不思議な場面もあります。
 この映画には文化庁所管の「日本芸術文化振興会」からの助成金が出ており、「靖国神社という政治的な題材を扱った映画に政府関係機関が助成したことは疑問だ」という、「靖国派」議員の要求で、国会議員向け事前検閲的特別試写会が3月に開催されました。
 試写会後の感想では、「靖国神社が、侵略戦争に国民を駆り立てる装置だったというイデオロギー的メッセージを感じた」(自民党稲田朋美議員)、「戦争の悲惨さを考えさせる映画だが、むしろ靖国賛美6割、批判4割という印象を受けた」(民主党横光克彦議員)と反靖国・靖国賛美と千差万別な感想が述べられていますが、東京では「話題になっている作品なので問題が起きる可能性もあり」と、1館が上映中止を決めました。ここに至る闇の深さを考えたいと思います。
 靖国神社の建物と人がつくり出す「金の像」を、見事に映し出した作品です。映像のみごとさ、映画の完成度の高さは、さすがに「ベルリン映画祭の正式招待作品」です。

(評・辻子実=NCC靖国神社問題委員会委員・日本バプテスト連盟靖国神社問題特別委員会委員)

 ナインエンタテインメント配給。http://www.yasukuni-movie.com/