もっと人間関係力を高めたいあなたへ、パフォーマンス心理学博士が贈る聖書のことば
佐藤綾子の
人とつきあう聖書の知恵
第8回
プロフィール
佐藤綾子(さとうあやこ):
日本大学藝術学部教授。博士(パフォーマンス学・心理学)。信州大学教育学部、ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科卒業。上智大学大学院文学研究科博士課程修了。1980年、日本初のパフォーマンス学創始。以降、各種ビジネスのブレインとして幅広く活躍中。著書150冊。最新刊『日経 WOMAN 元気のバイブル』(日経ビジネス人文庫)。『なぜあの人は尊敬されるのか』(中経出版)、『新版 かしこい女は、かわいく生きる。』(PHP研究所)。「佐藤綾子のパフォーマンス学講座(R)」を主宰。社団法人パフォーマンス教育協会(国際パフォーマンス学会)理事長。
ホームページ=http://www.spis.co.jp/
「予期不安」解消のカギ
「得たりと信じて感謝せよ」
仕事をしている中で、あなたは今の仕事がおもしろくない、と思ったり、何か新しいことはないかしら、と思ったことはおありでしょうか? そのような、現状に対する不満が心の中にわいた時、私たちは新しい夢を描き、その夢の実現のために、具体的にどのような方法をとったらよいのか、という思考の回路をスタートさせなければいけません。
ところが、どういう方法をとったらよいのかと考える瀬戸際になって、私たちの心にいくつかの不安が発生します。「前にも似たようなことをやって失敗した」、とか、「もしやってうまくいかなければ一文無しになるだろう」、という具合です。
このようなまだ起きていないことに対して不安に思う気持ちを心理学では「予期不安」、または「期待不安」と名づけています。「予期不安」や「期待不安」は、私たちが今までと違う何かをしようとするとき、つまり心理学でいう「態度変容」を起こそうとするときにまるでセット販売のようについてくるものです。
ところが、その「予期不安」が心の中で勝手なことをしゃべるのに耳を傾けていれば、私たちはいつまでたっても前に進めません。そこで「予期不安」を具体的なことばに変えて、無駄なおしゃべりをささやいてくるチャターボックス(「おしゃべり箱」と私なりに命名)に「シャラップ!」(黙れ!)と大声で命ずる必要があるのです。
ところがやみくもには「シャラップ!」と言うことができないのが、また人間心理の困ったところです。不安という感情はほかの感情と違って、ひとたび心の中にそれが発生すると、どんどん増殖して大きくなる、始末に負えないほど強い感情である、という特徴があります。だから、ただ「黙れ!」と言っても効果がないのです。
でも、考えてみてください。ヒントは私たちに対して、二千年も前から明示されているのです。
「だからあなたがたに言うのです。祈って求めるものは何でも、すでに受けたと信じなさい。そうすれば、そのとおりになります」(新約聖書・マルコの福音書一一章24節)。
願って求めるという時に、もちろんその願いのベクトルが悪い方向に向いているものであれば、私たちを見守っている神さまは絶対その願いの実現に手を貸してくださらないでしょう。しかし、もしもそのベクトルが「ゴッズ アイ」(神さまの目)に合致していれば、当然神さまによって造られた私たちの願いに対して、神さまは最大限の応援をしてくださいます。その応援に対する無限の信頼こそが、チャターボックスを黙らせて、「予期不安」や「期待不安」を解消する大切なポイントではありませんか。
あまりにも卑近な例で恐縮ですが、つい先日、ハンディ三十一のヘボゴルファーの私が、公式競技でホールインワンを出しました。その時にティーグラウンドに立った私がつぶやいたのは「神さま、このボールがきれいにワンオンしますように。すると信じていますから、ありがとうございます」だったのです。
ワンオンどころか、それがホールインワンになったのは神さまからのおまけだとしても、このような無限の信頼が人の心から余分な不安を取り去り、目前の動作に全エネルギーを集中できるようにさせてくれることは確かです。