もっと人間関係力を高めたいあなたへ、パフォーマンス心理学博士が贈る聖書のことば
佐藤綾子の
人とつきあう聖書の知恵
第22回
プロフィール
佐藤綾子(さとうあやこ):
日本大学藝術学部教授。博士(パフォーマンス学・心理学)。信州大学教育学部、ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究学科卒業。上智大学大学院文学研究科博士課程修了。1980年、日本初のパフォーマンス学創始。以降、各種ビジネスのブレインとして幅広く活躍中。著書150冊。最新刊『日経 WOMAN 元気のバイブル』(日経ビジネス人文庫)、『なぜあの人は尊敬されるのか』(中経出版)、『新版 かしこい女は、かわいく生きる。』(PHP研究所)。「佐藤綾子のパフォーマンス学講座(R)」を主宰。社団法人パフォーマンス教育協会(国際パフォーマンス学会)理事長。
ホームページ=http://www.spis.co.jp/
真実は一瞬の顔に出る
─ 人の真価を見抜く方法
先日、とてもいいことがありました。山形県へ、クリスチャン主催の市民のための講演に行ったときのことです。講演後にいただいた主催者からのメールに、「佐藤さんは、『幸福の風を運ぶ器』でした」という、すてきなお礼のことばがあったのです。ちょっと自分のことで恥ずかしいのですが、きっと読者の皆さんがすぐ実行できそうなので紹介します。
それは、前日の打ち合わせから、当日のサイン会や片付けの時間まで、私がいつも「ニコニコしていたこと」で、周りの人までみんな楽しくなって、「幸福の風が吹いてきた」と後になっても感じている、とのことでした。顔つきくらいで周りが幸せになるならば、ぜひ皆にやってほしい、と思うのです。
反対のケースもあります。友人で、整形外科の医師が先日、ある患者さんが診察室に入ってきた瞬間に、そのかたがなんとなく暗くて、心の中にたくさんの怒りが積もり積もっていて、それが外に噴出しそうな感じがした、というのです。案の定、彼女はその後、医師のちょっとした説明のことば尻をとらえて、「訴訟する、しない」の大騒ぎになったのでした。一瞬の表情の印象が正しかった、というケースです。私自身もまったく同じ経験があります。
あるとき、知人の百貨店の社長が、玄関で車から降りるのに出くわし、一瞬の表情のあまりの暗さにたじろぎました。その数か月後、当の百貨店は、人事をめぐる大騒動が起きて、社長も別の人に代わったのでした。
結局のところ、私たちの顔はものの見事に、その人の感情や人柄を表出している「情報発信体」だといえます。一瞬のうちに一万個以上の視覚情報を発信している、という研究論文もありますが、五感で受け取る情報が一万四千あまりとされている中では、視覚は大変情報なツールです。そのツールの中で、最高に人目につくのが、「顔」ではありませんか。
ことばのディスカッションの内容も大事ですが、一瞬、人の顔を見たときに集中力を発揮して、この人が何を考えているのか、自分と同じように明るく前向きでいられる人なのかどうなのか、その辺は全部顔に書いてあります。
私たちが初対面の人に会うとき、名刺や学歴、肩書き、収入などの人に関する判断材料があるに越したことはないでしょうが、それだけに固執することは、むしろ危険なのかもしれません。
その人に、偉い人としての肩書きがついていても、みんながその人を偉い人だと言っていても、あるいはその人が大金持ちですばらしいスーツを着ていても、心の中に闇を抱えていれば、それは顔の表情に必ず出ます。これは、私がもう三十年間もパフォーマンス心理学だけを専攻してきているので確信を持って言えることです(拙著『一瞬の表情で人を見抜く法』(PHP研究所)参照)。
しかも恐ろしいことに、その顔は、人の前に立ったり、マイクの前に立ったとき以外の、一瞬気を抜いているような隙間の時間に表れるのです。感謝や喜びは顔に出るのです。
「いつも主にあって喜びなさい。もう一度言います。喜びなさい」(新約聖書・ピリピ四章4節)
自分の顔に責任を持ちましょう。そして、努力して明るい顔でいましょう。人の顔から一瞬に感じた情報についても、本当に大切にしていくことをおすすめします。